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明治の組合製糸・碓氷社の清掃ボランティア

2021-11-12

 文化の日に市内にある旧碓氷社本社事務所の清掃をしました。碓氷社(うすいしゃ)は、 1878年(明治11)に手回しの上州座繰器を用いた組合製糸「碓氷社座繰精糸社」として設立したのが始まりです。そして 1946年(昭和21)に群馬蚕糸製造株式会社(のちのグンサン株式会社)へ引き継がれました。グンサンは 2000年(平成12)に解散しています。


現存する旧碓氷社本社事務所は、 1905年(明治38)に新築された建物で、1991年(平成3)に現在の場所に移設されました。 

建物の見学は外観のみで、内部が公開されることは特別なときしかありません。建物はときどき修繕されていますが、大規模なことはできないようで、年々痛みが酷くなっています。


この清掃ボランティアは、磯部南京玉すだれ愛好会兼おこさまネットワークを主催する平形さん、今井さんが始められました。養蚕・製糸の功績を国外にまで残した碓氷社を安中市のたいせつな宝として認知し保存してもらいたいと考えてのことです。

このボランティア活動の開催は 13回目だと思います。昨年はコロナ禍で中止しましたが、ほぼ毎年行われています。今年も安中市文化財保護課の担当者さん管理のもと、地元の有志 11人が参加しました。


今年は 2年分の埃が積もっています。まずは湿らせた新聞紙を撒いて、この新聞紙に埃を吸着させながら箒で掃き集めます。こうすると埃がやみくもに立つことがなく良いのです。長年のアイデアのたまものです。


その後、雑巾やモップで拭きました。


二階への階段。二階は痛みが進んでおり、破損や事故が起こってはいけないので、清掃は階段と廊下までとなりました。


主催者の段取りが良く、参加者もお馴染の方々なので 1時間ほどで終わりました。


 この清掃の日程は、これまで碓氷社の社長であった地元の名士・萩原遼太郎さんの命日(7月31日)にちなんで、この日又は近日に開催していました。今夏はコロナの感染者数が多かったので、11月に変更したのですが、気候が良く作業がしやすかったので、これからは文化の日の開催となりそうです。


碓氷社の歴史は、当館の仕事にとっても学ぶことが多いです。今後も皆さんと一緒に清掃、保存に協力して行きたいと思っています。